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## ある夏の悪夢

夏の暑い日差しが照りつける昼下がり、翔太は祖母の家の物置を整理していた。その物置は決して広くはないが、古いおもちゃや雑貨が所狭しと詰め込まれていた。彼は子供の頃から祖母の家が大好きで、この物置もまた彼の宝物だった。

その日、翔太は埃にまみれた段ボール箱の一つを開けた。中には、懐かしのラジコンカーやパズル、それに絵本が詰まっていた。しかし、ひと際目立つ存在があった。それは、青い目をした木製の人形だった。大理石のように冷たい感覚を持ち、見つめられるとまるで時間が止まったかのように感じられる。

「これ、昔のものだなあ」と、翔太は独り言をつぶやいた。しかし、視線を戻した時、人形の表情が微妙に変わっていることに気づいた。無機質で愛らしいはずのその目が、今は何か不気味なものを秘めているようだった。翔太は首を振り、気のせいだと思い込もうとしたが、その夜から悪夢が始まった。

## 木製の悪夢

最初の日の夜、翔太は夢の中で木製の人形に追い詰められるという奇妙な体験をした。暗闇の中、目の前に現れた人形は無表情ながら、その目だけがぎらぎらと光っていた。その瞳の中には、翔太が忘れかけていた昔の記憶がフラッシュバックのように再現された。

翌朝、翔太は汗びっしょりで目を覚まし、深いため息をつく。彼は夢の内容を思い出すたび、胸が締め付けられるような感覚に襲われた。しかし、次の日も、その次の日も、悪夢は止まらなかった。人形はどんどん凶暴になり、彼を追いかけてきた。

「これは一体何なんだ？」翔太は心の中でつぶやいた。ついに耐えられなくなった彼は、祖母に相談することにした。

## 祖母の告白

「おばあちゃん、この人形、昔からあったっけ？」翔太は不安げに尋ねた。祖母はしばらく考え込んだ後、重い口を開いた。

「ああ、それは昔、あなたのお父さんが持っていた人形よ。でも、彼も同じように悪夢に悩まされていたの。結局、その人形は物置に封印されていたのよ。」

翔太の心臓が一瞬止まるような気がした。「そうだったのか……」彼は驚愕の表情を見せた。

「おそらく、その人形には何かしらの呪いがかかっているんじゃないかと思う。お父さんもそう言っていたわ。」祖母の言葉は、翔太にとって重荷以外の何物でもなかった。

## 解決の道

翔太は決意した。この呪われた人形を何とかするためには、情報が必要だ。彼は地元の図書館から古い民間伝承に関する書籍を借り、さらにインターネットで「呪われた人形」に関する情報を探し始めた。

数日間の調査の後、ついに彼はある解決策を見つけた。それは、「悪夢を封じる儀式」という名の古い呪文だった。翔太はこの儀式を行うために必要な道具を揃え、満月の夜を待った。

## 決戦の夜

満月の夜、翔太は祖母の家の物置に戻り、人形を手に取った。その目は再びぎらぎらと輝いていたが、翔太は決して恐れなかった。

彼は儀式を始めた。呪文を唱え、特定の順序で草木や石を配置し、人形を高く掲げた。その瞬間、まるで時間が止まったかのように周囲の音が消え、冷たい風が吹き始めた。そして、人形の目が急に暗くなり、無機質な感覚に戻った。

「これで……終わったのか？」翔太は恐る恐るつぶやいた。その夜、彼は再び悪夢を見ることはなかった。翔太は深い安堵を感じ、人形を永久に封印することを決意した。

## 後日談

物置の整理が終わり、翔太の生活には再び平穏が訪れた。彼は再び学校生活や友人との時間を楽しむことができるようになった。しかし、おもちゃの中に潜む無数の秘密を考えると、二度と同じような経験をしないように心がけた。

祖母もまた、翔太の努力に感謝し、その人形を再び日の目に触れないよう深く埋めた。そして、翔太も新たな気持ちで前に進むことができるようになった。

悪夢の夜が終わり、木製の人形は静かに物語の幕を閉じたのであった。

**完**